リーグの集計があっという間に。リーグ集計ツールの使い方

Data VolleyやVolleyStationが苦手としているのは、複数チームにまたがる「横の比較」です。複数試合を選択して分析できるといっても、対象は1チームなので、例えばリーグの個人ランキングを作ろうと思ったら、チームの数ぶん、全試合を選択してワークシートなりを書き出して、といった手順が必要となります。

今回CourtEndが提供するのは、このリーグの集計をもっと簡単に行うダッシュボードアプリです。

一切の環境構築を必要としない(Rとか入れなくてもよい)、ブラウザ完結型のデータエコシステムです。今回は、その中核をなす2つの画期的なツールをご紹介します。

ステップ1:データを変換する

まず、データコンバーターにアクセスして、そのリーグ(またはシーズン)のすべてのスカウトファイルを選択し(ファイルはdvw形式かvsm形式に対応しています)、それをまとめた一つのファイル、RDSファイルをダウンロードします。各チームの試合数はそろえたほうができるだけ揃えたほうが良いかと思います。

ちなみに総試合は8チームのリーグ一回り28試合、二回り56試合、三回り84試合。

10チームの場合、一回り45試合、二回り90試合、三回り135試合、4回り180試合となります。

ステップ2:データをアップロードしよう

使い方はとてもシンプル。ダッシュボードのページにアクセスしたら、画面左側のメニューから、準備したデータを入れるだけです!

  1. 抽出済みのデータ(.rds)を選択 お手持ちのバレーボールデータから変換した「.rds」形式のファイルを、「Browse」ボタンからアップロードします。 ※処理はすべてあなたの端末(ブラウザ)内で行われるため、チームの機密データが外部のサーバーに漏れる心配は一切ありません!
  2. 集計単位を選ぶ 「選手ごと」のランキングが見たいか、「チーム全体」の成績を比較したいか、ラジオボタンで一発切り替えが可能です。
  3. 最低規定プレー数の設定 「たまたま1回だけ打って決まった(決定率100%)」というデータがランキングの1位にきちゃうと、分析のジャマになりますよね。スライダーを動かして「最低でも20本以上打った(受けた)選手だけを表示する」といった足切りがカンタンに設定できます。

サンプルとしてそこそこ昔の男子Vプレミアリーグのレギュラーシーズン全試合のデータをダウンロードできるので、自分のファイルをまだお持ちでない方はお試しください。

ステップ3:様々な指標でチームを分析する

1. サマリー

試合ごとの勝敗、セット取得率、勝ち点、総得点・総失点といった基本成績をチーム別に一覧表示するタブです。画面上部にはデータセットの全体的なパフォーマンスを示す「アタック決定率」「SO(サイドアウト)率」「BP(ブレイク)率」がハイライト表示されます。 アナリスト初心者が、複雑な分析に入る前にチームの全体像と大会における成績水準を俯瞰的に把握するために使用します。CSV出力機能により、監督やコーチへ提出する手軽な試合結果レポートの基礎データとして即座に活用できる利点があります。

2. 勝敗要因

「相手チームの数値を上回った(あるいはミスが相手より少なかった)場合に、どれくらいの確率でそのセットを取得できたか」を指標ごとに可視化したグラフです。サイドアウト率、各種決定率などの指標が、セット取得への貢献度順に並びます。 自チームが勝利するための必須条件(KSF:Key Success Factor)を客観的な数値として特定できます。「アタック決定率で勝るよりも、被ブロック率を低く抑えた方がセット取得率が高い」といった事実を明らかにし、練習メニューの重点課題や戦術目標を決定する際の根拠となります。

3. ブレイクダウン

実際のSO率とBP率(自チームがサーブ権を持つ際に得点した割合)の内訳を、得点要因別に分解して棒グラフで表示します。SOであれば「A/Bパスからの1stアタック」や「トランジション」、BPであれば「サービスエース」や「ブロック」などに細分化されます。 SO率やBP率が低い際、「どのフェーズで得点を取りこぼしているか」を特定できます。「トランジションでの得点が不足している」「相手のミスに依存している」といった具体的な弱点を洗い出し、ローテーションごとの戦術修正案を提示するための深掘り分析に直結します。

4. チーム詳細

各チームのSO率、BP率、アタック決定率などの主要スタッツと、リーグ全体の平均的な期待値(xSO、xBP)との差分(Diff)を算出して一覧表示します。被決定率や被サーブミス率といった守備側の指標も網羅しています。 単純な決定率は対戦相手のレベルや状況に左右されますが、期待値との差分を見ることで「状況の良し悪しに関わらず、チームの実力としてどれだけバリューを生み出したか」を純粋に評価できます。自チームの相対的な強み・弱みの把握や、他チームとの客観的な戦力比較に用います。

5. アタック

選手またはチーム単位でのアタック詳細指標をまとめたデータテーブルです。打数や決定率・効果率に加え、局面別(レセプション直後/ラリー中)の決定率と、独自指標である「xValue/100(攻撃貢献度)」を表示します。 xValue/100は、打った状況(パスの質やゾーンなど)の難易度から算出される期待決定率と実際の結果を比較した指標です。「難しいトスを打ち切った選手」を高く、「簡単なトスでミスをした選手」を厳しく評価するため、表面的な決定率には表れないスパイカーの真の貢献度を査定し、適切な起用を提案する根拠となります。

6. アタックグラフ

選手またはチームごとの「試合ごとのアタック決定率のばらつき」を、バイオリンプロット(分布図)として視覚化したグラフです。打数の多い上位選手を自動抽出し、決定率の中央値と変動幅を示します。 平均値だけでは見えない選手の「安定感」を評価します。「平均決定率は高いが波が激しい選手」と「平均はそこそこだが毎試合安定している選手」を視覚的に判別できます。短期決戦での起用リスクの評価や、長期リーグにおける疲労度・好不調の波をモニタリングするツールとして機能します。

7. レセプション

選手またはチーム単位のサーブレシーブ成績表です。伝統的な「A/Bパス返球率(Perfect+good%)」に加え、そのパスの質から算出される期待サイドアウト率(xSO)と、そこから実際にサイドアウトを獲得できた割合(実際のSO%)を比較できます。 パスがセッターに綺麗に返ったかだけでなく、「そのレセプションが実際にチームの得点に繋がったか」という最終的な成果を評価できるのが利点です。返球率の数字に囚われず、攻撃陣との連携も含めた実戦的なレセプションの価値を測り、フォーメーションの最適化に役立てます。

8. サーブ

選手またはチームごとのサーブ成績表です。エース率やミス率といった基本指標に加え、相手のパスを崩した割合(被Perfect+good%)、期待ブレイク率(xBP)、および実際のブレイク率を表示します。 サーブの目的である「自チームがブレイク(得点)すること」に焦点を当てて評価します。「サービスエースは少ないが、ミスが少なく高確率でブレイクに繋がっている効果的なサーバー」を発見できます。ミスの許容範囲(リスクとリターンのバランス)を定義し、サーブの戦術的ターゲットを策定する際に活用します。

9. ブロック

選手またはチームごとのブロック成績表です。ブロックに関与した回数、直接得点となった割合(キル率)に加え、ワンタッチを取ってラリーを継続させた「有効タッチ率」、および1セットあたりの平均ブロック得点数(セットキル)を算出します。 直接得点(シャットアウト)だけでなく、後衛のレシーブを助ける「有効なワンタッチ」を可視化します。得点にはなっていないが、システムとして機能しディフェンスの要となっているブロッカーを正当に評価でき、ブロックシステムやマークの付き方の修正に直結します。

おわりに

「データをもっと身近に、もっと深く。」 CourtEndのデータエコシステムは、トッププロのチームはもちろん、学生チームやクラブチームにまで、最先端の分析インサイトを提供します。

ブラウザを開くだけで始まる新しいバレーボール分析の世界を、ぜひ体験してみてください。

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