現代のバレーボールをはじめとするスポーツにおいて、データ分析は勝敗を左右する重要なファクターです。しかし、どれほど高度な分析ツールを導入しても、その元となる生データの質が悪ければ、導き出される戦術もまた的外れなものになってしまいます。いわゆる「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたらゴミが出てくる)」という状態です。
本記事では、真に価値のあるデータを収集し、チームの勝利に直結する分析を行うための土台、「スカウティングの原則」について解説します。主観を排除した客観性・一貫性の担保から、チーム戦術に応える適合性、将来の分析を見据えた拡張性、そして入力者の負担を最小限に抑える効率化まで。単なる「記録係」から脱却し、質の高い情報を提供するための根幹となる考え方を紐解いていきましょう。
なお、この記事はベン・レイモンド氏の『バレーボール・スカウティングノート』の「原則」の項を解説する形で進めたいと思います。
https://raymondben.github.io/scouting-notes/index.html
1番目の文
as objective as possible, by minimizing subjective assessments by the scout.
スカウト(記録者)による主観的な評価を最小限に抑えることで、可能な限り客観的なものであること。
Ben Raymond
- なぜ客観的でなければならないのか?
データの信頼性を担保するためです。人の「感覚」は日によって変わりますし、「良い・悪い」の基準は人によって異なります。客観的な基準を設けないと、記録されたデータが「事実」なのか、単なる「個人の感想」なのか分からなくなってしまいます。
サーブレシーブ(レセプション)を評価する際、「今のパスはまあまあ良かった(主観)」ではなく、「セッターがアタックラインの内側で、一歩も動かずにセットできた状態をAパスとする(客観的指標)」というように明確なルールを定めます。これにより、誰が見ても同じ評価になります。
